２４８． - کشوره ۳　（Not centre of the universe (maybe the earth)）

私は山口周防に生まれ育った者です。吉田松陰については、幼少の頃より近親の古老達から、その精神を畏怖すべきものとして刷り込まれてきた記憶があります。今でも、懐かしい人の表情とともに、ガランとした部屋の壁に掛かっていた、古い額縁のなかの｢至誠｣の二文字を思い出します。ただ、後年、松陰に関する本などを読むにつけ、疑問に思うことも生じてきました。疑問というよりも、ある部分の彼の考えが、余りにナイーブ、稚拙過ぎるとでも述べたほうがよいのでしょうか。そこの所を紹介しておきます。吉田松陰の『幽囚録』から「今急に武備を修め、艦略具（そな）はりほう略（りゃく）足らば、則（すなわ）ち宜しく蝦夷（えぞ）を開墾して諸侯を封建し、間（すき）に乗じて加摸察加（カムチャツカ）・〓都加（オホーツク）を奪（かちと）り、琉球を諭し、朝覲（ちょうきん）会同すること内諸侯と比（ひと）しからめ朝鮮を責めて質を納（い）れ貢（みつぎ）を奉じ、古（いにしえ）の盛時の如（ごと）くにし、北は満州の地を割り、南は台湾、呂宋（ルソン）諸島を牧（おさ）め、漸に進取の勢を示すべし」この文章は、早急に軍事力を備えて、北海道からカムチャッカ、オホーツクをはじめ、沖縄、朝鮮、満州、台湾、フィリピンを支配下に置こうというものです。ここには、西洋列強の植民地支配から、共に手を携えてアジアの解放を成し遂げようという発想は見られません。ただ単に、他民族の尊厳など考慮することもなく、周辺諸国を支配下に置こうという自民族中心主義が、幼児的夢想の如く露骨に表明されているだけです。そして、信じ難いことですが、日本は無条件降伏するその日まで、彼の描いた「夢想」の歴史をそのまま辿って行ったのです。長州出身者としては、ここに表明されている彼の｢妄想｣について、大変心苦しく思います。幼少の頃より、吉田松陰を崇敬する近親の老人達から彼の精神の｢高貴さ｣を刷り込まれてきたものとしては、自らの根拠を脅かされる感があります。最後にもう一言。私どもの近親の老人達は、伊藤や山形などは全く評価せず、萩の乱に散った前原一誠や奥平謙輔を殊の外尊崇していました。そのことは、是非とも知っておいてもらいたいことです。

Bertrand_Sushibar_Russell

1 週間前（編集済み）

人間の考えというのは、外界から情報を吸収して進化して行くものなので、日本にずっといた吉田がその時点で幼稚だというのはフェアじゃないと思います。例えば山中教授の今のウイルスに対する発言は最初の「データが無い」を除き完全に間違っており、奴隷・ピエロ・道化の類として権力者に良いように使われています。本当は緊急事態宣言等は全く不要で、このウイルスによる経済的被害は、実際の被害の１０００－１００万倍です。参考→私の名前→私のブログ。 https://bertrandsushibarrussell.hatenablog.com/entry/2020/03/26/203454 　　
　
　そもそも日本人は「殴られても殴られても明るく笑っている人間が好き」とかいう、驚愕の奴隷・乞食根性を発揮する馬鹿、方向音痴の集団がこの極東の島国に選択して集められている事を忘れてはいけません。つまり、日本人に対しては「殴っても殴っても笑っていろ」と接するのが現時点では正解となり、ワタミ、アメリカ、徳川幕府などなんでも、日本人を奴隷扱いした人間は皆成功しています。神から最も遠い所にいるのがインドジンと日本人です。日本人は極東にインドを作ろうと努力し、成功（失敗）しました。吉田松陰は（も）、権力者の被害者です。

　結局、一般人の価値判断基準は雰囲気だけだ。という事に尽きると思います。

注目の返信

Hitoshi Yokoo

1 週間前

@Bertrand_Sushibar_Russell コメントありがとうございます。

　私は、松蔭の至誠の精神を基礎にした対他関係は、もう少し思索を詰めれば彼の対アジア政策にも反映されたであろうと昔から考えており、そのことを残念に思っている者です。そのことについて述べてみたいと思います。
　
「至誠にして動かざる者は未だ之れあらざるなり」という孟子の言葉は、私どもが相手に対して誠の心を尽くすならば、相手は感動して(心を動かして)、私どもの真意を必ず受け取ってくれるはずだという意味でしょう。
　
　松蔭を松蔭たらしめるこの「至誠の精神」と『幽囚録』に記されている「間（すき）に乗じて加摸察加（カムチャツカ）・〓都加（オホーツク）を奪（かちと）り」という発想が、私のなかでは昔から整合性がとれません。他国の領土を「間（すき）に乗じて奪（かちと）り」という表現は、あまりにも下品であり、そこに至誠の精神の貫徹を窺うことはできません。ここでは、他国の領土に住む他者の存在自体が無視されています。そもそも、至誠とは、他者との関係性の構築に向けてのこちら側の精神的姿勢を問うものであり、他者は初めから前提であり目的にされています。しかし、『幽囚録』には、その前提が一切欠落しているのです。私は、ここに松蔭思想の不徹底、その未熟を看取するのです。
　
　松蔭も、高杉晋作の上海レポートなどからアジアの現状を認識していたでしょう。強盗さながらの西洋列強に蹂躙される民衆の悲惨も知悉していたはずです。他国の領土を「間（すき）に乗じて奪（かちと）る」のが西洋帝国主義の本質なら、それに対抗して、松蔭なりの至誠の精神を基礎に置いた他者との関係性の構築が、思索志向されるべきだったし可能だったと思います。残念なことに、他者を前提にし目的とする至誠の精神に拠ることなく、強盗的西洋帝国主義に無疑問的に追随する「アジア政策」を夢想し億面もなく語る彼は、この時点においては未熟であり稚拙であったというのが私どもの率直な感想です。

Bertrand_Sushibar_Russell

1 週間前

@Hitoshi Yokoo 要するに、幕末の一時期に、「列強（）と同じ事をすべきだ」という事を『常識化』しようとしていた集団がいるようですね。『植民地化は、強国の常識である』と刷り込めば、『→日本は強国になる→そのためには植民地化が必要である』という論理展開までは直です。寧ろ、植民地化を行わず、現行の枠のままで行こう、と言う方が、「価値判断＝雰囲気のモブ、大衆」から批難を受けるでしょう。

　2020年３月にコロナウイルスに対し休校措置の後、３日前までオリンピックを絶対に開催するとしか言っていなかった小池百合子が「東京をロックダウンする」と完全に破壊行為である発言を行いました。　ところが、大衆の反応は、若干の匿名工作員に扇動され、完全に小池に賛同し、「何で緊急事態を出さないんだ！！」「遅い！！！」等と、自分で自分の首を絞めるようなことを叫びました（まだ叫んでいます）。エンドポイントがなく、いつ終わればいいのか分からないまま、いま多くの会社、生活が破綻しています。

　松陰の発言は、当時はそう言わなければ受け入れられない物であり、仕方が無かった、寧ろ「完全平和主義を貫き、米国に国防を完全依存し、貿易立国を行い、サイエンスとテクノロジーの進歩を追求すべきだ」等とでも言っても、誰も理解できない所か、どこぞの狼藉者に道で斬られて終わりだった、と思います。この辺が人間、ひいては人間社会の限界なのでしょうか。結局、松陰はその後いいように権力者に使われただけです。同様に非業の死を遂げた佐久間象山がいますが、死後に神格化まではされていません。必要なかったからでしょう。

　私は、「儒教」というのは根本的な欠陥品だと思っています。

　中国の古典は「易経」が最初にして最高、という奇妙な構成をしています。易経は奥が深すぎます。宇宙人が置いて行ったとしか思えない程です。その後、易経から劣化した孔子の説から、朱子学ー陽明学に分派し、日本で拡散されたのは、その完全劣化版の朱子学のさらに劣化コピーです。儒学陽明学と、「素朴な人間を礼賛する」事には大して違いはなく、王陽明が中国内陸の田舎に左遷されたときに「ここの農民の方が余程儒教を実践している」と愕然とした通り。この程度の事は、易経には「山風蠱」や「天雷无妄」の一言で表されています。

　要するに、日本は前提からして、勝つ為の思想を持っていなかった、という事に尽きると思います。